危険なめまいの識別について
危険なめまいを識別するには、以下のような症状が伴うかを確認します。
- 顔の片側にけいれんや下垂がある
- 言葉が不明瞭になる、話すことが困難になる、ろれつが回らない
- 片腕または片足に力が入らない、動かしにくい、しびれる
- 片方の目が見えにくくなる、視野が狭くなる
- 普段経験しない種類の強い痛みがする
- 身体に力があるにも関わらず立てない
- 意識を失う、全身にけいれんが起こる
- 真っ黒な便が出る
これらの症状は、脳卒中や一時的脳虚血発作(TIA)などの脳の問題を示す可能性があるため、速やかに救急車を呼ぶべきです。
一般的なめまい(耳が原因のめまい)
対照的に、耳が原因の一般的なめまいは、通常、内耳の問題によって発生します。これには、良性発作性頭位めまい症(BPPV)、メニエール病、内耳炎などが含まれます。これらの状態では、耳鳴りや一時的な聴力低下を伴うことが一般的です。これらの症状は直接命に関わる病気ではありません。
めまいの発作は基本的に短時間で、体位の変化によって引き起こされたり悪化したりします。治療は症状と原因に基づいて行われ、しばしば薬物療法や特定の運動療法が有効です。
中枢性めまいの特徴
脳由来のめまい、つまり中枢性めまいは、耳鳴りや難聴、耳の閉塞感が伴わないことが多いです。症状の持続期間も長く、数日間続くことがあります。他にも、物が二重に見える、片側の手足に痺れや脱力感がある場合は、脳が原因となるめまいの可能性が高いと考えられます。
まとめ
めまいが生じた際には、多くは命に別条のない症状に過ぎない場合もありますが、
手足のしびれ、ろれつが回らない等上記のような他の症状が伴う場合は、それが「危険なめまい」のサインである可能性が高いです。このような場合は、速やかに救急病院や救急車の利用が必要です。
特に脳の問題が疑われる場合、生命に関わる病態のため、迅速な対応が重要となります。
このコラムを見ている方は、おそらく本コラムでお伝えしたような中枢性のめまいを疑う症状が、たった今現れていることは無いかと思いますが…
もし、ご自身や周囲の方が、このような症状になってしまった時の一助となれば幸いです。
文責
添田 一弘(当院院長)
添田 一弘(当院院長)
日本めまい平衡医学会めまい相談医の資格を所有し、獨協医科大学で現在もめまいに関する学生講義も担当しております。宇都宮に根ざして50年以上の歴史がある耳鼻科医院にて、めまいに対してより専門性の高い診療を提供しております。
資格・所属学会
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
主な現職
獨協医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科 非常勤講師日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会栃木県地方部会 保険医療委員会委員