寝返りや起き上がりで目が回るのはなぜ?良性発作性頭位めまい症(BPPV)について
「朝、起き上がろうとしたら、突然天井が回った」
「夜、布団に横になった瞬間にぐるぐるした」
「寝返りを打つたびにめまいが起こる」
このような症状の原因として多いものの一つが、良性発作性頭位めまい症(BPPV)です。
当院でも、「朝起きようとしたときにめまいがした」「夜、寝ようとして横になったときにめまいがした」と相談される患者さんが多くいらっしゃいます。
今回は、良性発作性頭位めまい症の特徴や検査、治療、再発時の対応について、日本めまい平衡医学会認定めまい相談医である当院院長の診療経験を交えて解説します。
良性発作性頭位めまい症(BPPV)とは?
良性発作性頭位めまい症は、頭の位置を変えたときに起こるめまいです。
耳の奥にある内耳には、体の傾きや動きを感じ取るための「耳石」があります。この耳石の一部が本来の場所からはがれて三半規管に入り込むと、頭を動かしたときに耳石も動き、実際の動きとは異なる情報が脳へ伝わります。
その結果、周囲や自分がぐるぐる回るようなめまいが起こります。
特に、次のような動作をきっかけに症状が出る傾向があります。
- 朝、ベッドや布団から起き上がる
- 寝返りを打つ
- 夜、横になろうとする
- 上を向く
- 下を向いてから顔を上げる
- 洗髪などで頭を後ろへ倒す
めまいは数秒から1分程度で治まることが多いものの、同じ動作をするたびに繰り返す場合があります。また、強い回転感が治まった後も、ふわふわする感じやふらつきが残ることがあります。
診察で重要になる3つのポイント
めまいの診察では、主に「発症のきっかけ」「持続時間」「一緒に現れた症状」を確認します。
まず大切なのが、頭をどのように動かしたときに症状が起きたかです。「右へ寝返りを打ったとき」「布団から起き上がったとき」など、具体的な動作が診断の手がかりになります。
次に、めまいがどのくらい続いたかを確認します。1分以内に治まったのか、数分以上続いたのか、安静にしていても続いたのかによって、考えられる病気が変わります。
さらに、耳鳴りや聞こえにくさ、耳の詰まった感じ、頭痛、手足のしびれなど、めまい以外の症状がなかったかも重要です。
受診する頃には症状が治まっていることもあります。可能であれば、次の内容をメモしておきましょう。
- いつ症状が起きたか
- どの動作で起きたか
- 何秒・何分くらい続いたか
- 何度くらい繰り返したか
- 耳鳴りや聞こえにくさがあったか
- 頭痛や手足のしびれがあったか
当院で行う診察・検査
当院では詳しく症状を伺ったうえで、頭の位置を変えたときに現れる眼の動きである「眼振」を確認します。
BPPVでは、耳石が入り込んだ三半規管によって、特徴的な眼振が現れることがあります。眼振の方向や出現する頭の位置などを確認し、BPPVの可能性や原因となっている部位を判断します。
必要に応じて、聴力検査や体のふらつきを数値化する重心動揺検査なども行います。めまいの原因を考えるうえでは、症状だけでなく、耳の聞こえや体のバランスを総合的に確認することが大切です。
BPPV以外の病気にも注意が必要です
頭を動かしたときにめまいが起きたからといって、必ずBPPVとは限りません。
当院の診療では、強い頭痛、手足のしびれや力の入りにくさ、言葉の話しにくさなどがある場合、脳に関係する病気の可能性も考えます。
特に、次のような症状がある場合は注意が必要です。
- 顔の片側がゆがむ
- ろれつが回らない
- 片側の手足に力が入らない
- 物が二重に見える
- 支えがなければ立てない
- 意識がもうろうとする
- 経験したことのない激しい頭痛がある
このような症状を伴う場合は、通常の予約を待たず、救急車の要請や救急医療機関への受診を検討してください。
BPPVの治療方法
BPPVが疑われ、眼振検査から原因となっている三半規管を推定できる場合には、頭や体の向きを順番に変える「耳石置換法」を行うことがあります。三半規管に入り込んだ耳石を、本来の位置へ戻すことを目的とした治療です。
症状が軽くなっていても、ふらつきが残っている方には、状態に応じて体操やリハビリをご案内することがあります。
また、吐き気が強い方や、めまいに対する不安が強い方には、症状を和らげるための薬を処方する場合もあります。治療方法は一律ではなく、症状の強さや眼振などの検査結果に合わせて判断します。
インターネット上ではさまざまな体操が紹介されていますが、BPPVのタイプによって適切な動かし方は異なります。自己流で強く頭を動かすと、転倒したり、症状が悪化したりする可能性があります。まずは診察を受け、医師から方法を確認しましょう。
症状が治まった後も再発することがあります
BPPVは、症状が一度治まった後に再発することがあります。
受診時にめまいが治まっていても、「もう治ったから大丈夫」と決めつけず、どのような症状があったかをご相談ください。必要に応じて検査を行い、今後の注意点をご説明します。
再びめまいが起きた場合も、以前と同じBPPVとは限りません。症状の強い・弱いにかかわらず、早めに受診することをおすすめします。
宇都宮市でめまいにお困りの方へ
頭を動かしたときに短時間のめまいが起こる場合は、良性発作性頭位めまい症の可能性があります。しかし、めまいにはさまざまな原因があり、症状だけで自己判断するのは難しいものです。
添田耳鼻咽喉科医院では、日本めまい平衡医学会認定めまい相談医の院長が、症状の経過、眼振、聴力、体のバランスなどを総合的に確認しながら診療を行っています。
寝返りや起き上がりでめまいを感じた方、めまいを繰り返している方、めまいが治まった後もふらつきが続いている方は、早めにご相談ください。

添田 一弘(当院院長)
日本めまい平衡医学会めまい相談医の資格を所有し、獨協医科大学で現在もめまいに関する学生講義も担当しております。宇都宮に根ざして50年以上の歴史がある耳鼻科医院にて、めまいに対してより専門性の高い診療を提供しております。
資格・所属学会
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医
主な現職
獨協医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科 非常勤講師日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会栃木県地方部会 保険医療委員会委員