子どもが呼びかけに反応しない?鼻水と滲出性中耳炎の受診目安|宇都宮市の耳鼻咽喉科|添田耳鼻咽喉科医院

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「泉が丘中学校」の南側

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子どもが呼びかけに反応しない?鼻水と滲出性中耳炎の受診目安

子どもが呼びかけに反応しない?鼻水と滲出性中耳炎の受診目安

熱も痛みもない「聞こえにくさ」をどう受け止めるか


「熱も耳の痛みもないのに、耳鼻いんこう科で診てもらってよいのでしょうか」。風邪のあとに鼻水が長引くお子様の保護者から、よく寄せられる相談です。テレビの音量が上がった、名前を呼んでも振り向かない。こうした変化の背景に、痛みの目立たない滲出性中耳炎があることもあります。この記事では、家庭や園で気づきやすいサイン、受診を考える目安、診察や聴力検査の流れ、経過観察中の見守り方を順に整理しました。元気そうに見えても、聞こえ方の変化が続くなら耳を調べてもらう理由になります。


この記事の要点まとめ


  • 鼻水が続き、呼びかけへの反応や聞き返しに変化があれば、耳鼻いんこう科への相談を検討します。
  • 滲出性中耳炎は痛みや発熱が目立たないことがあり、鼓膜の診察や聴力検査で状態を確認します。
  • 経過観察では聞こえや園での様子を記録し、再診時に伝えて治療方針を医師と相談します。

目次



呼びかけへの反応が鈍いとき、滲出性中耳炎も考える?

呼びかけへの反応が鈍いとき、滲出性中耳炎も考える?

テレビの音量・聞き返し・園での反応に表れる聞こえにくさ


小さなお子様が「聞こえにくい」と自分から言うことは、ほとんどありません。手がかりになるのは、日々の行動の小さな変化です。


  • テレビに近づく、音量を上げたがる
  • 「え?」「なに?」と聞き返す回数が増えた
  • 背後からの呼びかけに振り向かない
  • にぎやかな場所で会話がかみ合わない

とはいえ、遊びに夢中で返事をしないだけのこともあります。一つの行動だけで病名は決められず、普段との違いが続いているかが見極めの手がかりです。1


滲出性中耳炎とは?風邪の後の鼻水と耳のつながり


滲出性中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳という空間に液体がたまった状態を指します。鼓膜が振動しにくくなるため、聞こえにくさにつながることがあります1。中耳は耳管という細い管で鼻の奥とつながり、空気の出入りを調整しています。子どもの耳管は大人より短く、傾きもゆるやか。風邪や鼻炎で鼻の奥の炎症が長引くと耳管の働きが乱れやすく、液体がたまる一因になると考えられています。ピロリ菌感染との関連を調べた研究もありますが2、集団の傾向を示したもので、個々のお子様の原因を決める材料にはなりません。


「痛がらないから中耳炎ではない」は思い込みかも


中耳炎と聞くと、夜中に耳を痛がって泣く姿を思い浮かべるかもしれません。それは主に急性中耳炎の姿で、痛みが一番つらい症状として扱われます3。一方の滲出性中耳炎は、痛みや発熱がほとんどないまま経過することがあり、本人はいつも通り元気に過ごしています。急性中耳炎のあと、液体だけが残る場合もあります。症状の有無だけでは見分けがつかないため、聞こえ方の変化が続くなら、鼓膜を直接見てもらうことで状態を確かめられます。


子どもの聞こえ方が気になるときの受診目安

子どもの聞こえ方が気になるときの受診目安

鼻水が続き、家庭や園で反応の鈍さが重なる場合


風邪が落ち着いたのに鼻水や鼻づまりが長引き、そこへ聞こえ方の変化が加わっている。このような状態は、耳鼻いんこう科への相談を考えるタイミングです。目安にしたいのは「何日続いたか」という数字より、普段の様子との差。家庭での気づきに加えて保育士から反応の鈍さを指摘されたなら、異なる場面で複数の大人が同じ変化に気づいていることになります1。保育士には「どんな場面で反応しにくかったか」「いつ頃から気になったか」を尋ねておきましょう。


強い耳の痛み・発熱・耳だれが出た場合


途中で耳を強く痛がる、熱が出る、耳から液体が出てくる。こうした変化があれば、聞こえ方を見守る段階とは分けて考えます。急性中耳炎など別の状態が加わっている可能性もあり、痛みへの対応を含めて早めの相談が勧められます3。耳だれは中耳炎のほか外耳の炎症でも起こり、鼓膜換気チューブを入れているお子様にみられることもあります4。原因は見た目だけでは判断できないため、入り口に出てきた分を軽く拭う程度にとどめ、診察を受けてください。


受診前に書き留めたい、家庭と園での変化


限られた診察時間で日々の様子をすべて伝えるのは、意外と難しいものです。スマートフォンのメモに、次の項目を短く残しておくと話がまとまります。


  • 鼻水が始まった時期と、量や色の変化
  • 左右どちら側からの呼びかけで反応しにくかったか
  • 聞き返しやテレビの音量が気になり始めた時期
  • 園で指摘された内容と場面
  • 耳の痛み・発熱・いびきの有無

液体が片耳だけにたまっていることもあり、左右の違いは診察の手がかりになります1。


耳鼻いんこう科では何を調べ、どう経過を見ていく?


鼓膜の診察と、お子様に合わせた聞こえの検査


診察では、耳鏡や内視鏡で鼓膜の色や透け具合、奥に液体がないかを確認します。必要に応じて、鼓膜の動きやすさを調べる検査(ティンパノメトリー)や聴力検査を組み合わせます1。聴力検査の方法は、年齢や集中できる時間によって変わります。5歳前後なら、ヘッドホンで音が聞こえたら合図をする方法がとれることもあれば、遊びを取り入れて反応をみることもあります。耳を触られるのを嫌がる、検査室を怖がるといった様子は、遠慮なく医師やスタッフに伝えてください。抱っこの姿勢など、進め方を一緒に考えられます。


経過観察中に、聴力と園生活への影響を確かめる理由


滲出性中耳炎は時間とともに液体が抜けていく場合もあるため、すぐに処置をせず様子を見る方針がとられることがあります。ただ、経過観察は「何もしない期間」ではありません。鼓膜の状態と聞こえの程度がどう推移しているか、会話や言葉の発達、園での集団生活に支障が出ていないかを、再診のたびに確かめていきます1。通院の間隔や聴力検査の時期は、お子様の状態によって異なります。診察の最後に「次はいつ頃来ればよいか」「次回は聴力検査をするか」を確認しておくと、仕事の予定も組みやすくなるはずです。


薬や鼓膜換気チューブを相談するときの判断材料


治療の話は、鼻の症状への対応と耳そのものへの対応を分けて整理すると理解しやすくなります。鼻水や鼻炎が続く場合には、鼻の状態に合わせた薬や処置が検討されます。耳の液体が長く残り、聞こえへの影響が大きいときには、鼓膜に小さな管を入れて空気の通り道をつくる鼓膜換気チューブ留置術が選択肢に挙がることもあります。方針は、聴力の程度、経過の長さ、園生活や言葉への影響を踏まえて医師と相談しながら決めていきます。留置後は耳だれが出ることがあり、水への注意をどこまで行うかは研究でも一律の結論が出ていません4。入浴やプールの扱いは、個別に確認してください。


宇都宮市での通院を見据えた家庭と園での見守り方


家庭では声をかける場面と聞き返しの変化を記録


経過観察中は、反応したかどうかに加えて「どんな場面だったか」を添えて記録しておくと、推移が見えやすくなります。静かな部屋で後ろから呼んだとき、テレビのついた居間で話しかけたとき。条件が違えば反応も変わります。週に数回、一言残すだけでも再診時の材料になります1。聞き返しが多くても叱らず、顔を見てゆっくり話すと、お子様も会話を楽しみやすくなります。下のお子様がにぎやかな時間帯は聞き取りにくさが目立ちやすい、という点も頭の片隅に置いておきましょう。


園には呼びかけや集団での会話の様子を確認


保育園では、家庭とは違う「集団の中での聞こえ」が見えてきます。お迎えのときや連絡帳で、保育士に次の点を尋ねてみてください。


  • 名前を呼ばれたときの反応
  • 全体への指示を聞き取れているか
  • 座る位置や周りの騒がしさで違いがあるか
  • 友達との会話で行き違いが増えていないか

家庭と園、両方の情報がそろうと、医師も生活の中での聞こえ方を把握しやすくなります。


鼻炎の相談も含め、診察で確認したいこと


季節によって鼻水が増える、くしゃみが続くなど、アレルギーが気になる場合は耳の相談と一緒に伝えて構いません。なお当院の案内では、注射器を使わないアレルギー検査であるドロップスクリーン検査の対象は小学生以上で、未就学のお子様は他の医療機関への相談をお願いしています。舌下免疫療法は滲出性中耳炎そのものの治療ではなく、アレルギー性鼻炎の治療を考える際の別の相談事項です。診察では「次の受診時期」「聴力検査の予定」「園で配慮してもらうとよいこと」を確認しておくと安心です。予約方法は時間帯予約制への移行など変更があるため、受診前に公式サイトの案内をご確認ください。まずは今週、家庭と園で気づいた場面を三つ書き出すところから始めてみましょう。


よくある質問


Q. 中耳炎にカルボシステインを含む薬が使われることはありますか?


A. カルボシステインは、痰や鼻水の粘り気を調整する薬です。小児の滲出性中耳炎で、鼻の状態などを踏まえて処方が検討されることがあります。使うかどうか、どのくらい続けるかは、診察で耳と鼻の状態を確認したうえで医師が判断します。


Q. 中耳炎の治療で、鼓膜切開はどのような場合に行いますか?


A. 急性中耳炎で強い痛みや高い熱が続き鼓膜の腫れが目立つ場合や、滲出性中耳炎で液体が長く残り聞こえへの影響が続く場合などに検討されることがあります。麻酔をして短時間で行う処置で、開けた穴は多くの場合しばらくすると閉じていきます。必要性は鼓膜の所見や経過によって異なるため、医師から説明を受けて判断してください。


Q. 耳から水が出る原因は何ですか?


A. 急性中耳炎で鼓膜に穴があいた場合、外耳の炎症、鼓膜換気チューブを入れたあとなど、いくつかの原因が考えられます。見た目だけでは区別できないため、綿棒で奥まで拭き取らず、耳鼻いんこう科で確認してもらいましょう。


Q. 手をこすった音を耳元で聞かせて、聞こえを確かめても大丈夫ですか?


A. 手を何度かこすって耳元で音を聞かせる方法は、家庭で変化に気づくきっかけにはなります。ただ、聞こえの程度や左右差、原因まではわかりません。気になる結果が続く場合は、自己判断で終わらせず聴力検査を受けてください。


Q. 受診や検査にかかる費用が気になります。


A. 滲出性中耳炎の診察・検査・処置の多くは公的医療保険の対象で、自己負担は年齢や自治体の子ども医療費助成制度によって変わります。インターネットなどで目にする金額は一般的な相場であり、当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や処置の内容により異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。


参考文献


1. 厚生労働省. 健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報). https://kennet.mhlw.go.jp/information/

2. Wu X, Zheng Y, Gao X, et al. Association Between Helicobacter pylori Infection and Otitis Media With Effusion Risk in Children: A Systematic Review and Meta-analysis. Otolaryngol Head Neck Surg. 2020. PMID: 32482139 / DOI: 10.1177/0194599820921861

3. Foxlee R, Johansson A, Wejfalk J, et al. Topical analgesia for acute otitis media. Cochrane Database Syst Rev. 2006. PMID: 16856108 / DOI: 10.1002/14651858.CD005657.pub2

4. Steele DW, Adam GP, Di M, et al. Prevention and Treatment of Tympanostomy Tube Otorrhea: A Meta-analysis. Pediatrics. 2017. PMID: 28562289 / DOI: 10.1542/peds.2017-0667


添田 一弘

医師


添田耳鼻咽喉科医院

院長

添田 一弘

▶ 監修者プロフィール

経歴
昭和57年 宇都宮市立泉が丘中学校 卒業
昭和60年 栃木県立宇都宮高等学校 卒業
昭和60年 東京慈恵会医科大学 入学
平成3年 東京慈恵会医科大学 卒業
平成3年 第85回 医師国家試験 合格
平成3年 東京慈恵会医科大学付属病院研修医
平成5年 同上 研修終了
平成5年 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学講座 助手 診療医員
以後 慈恵医大附属病院(本院、第三病院、柏病院) 太田総合病院(川崎市)に勤務
平成12年~平成14年 Brandeis University Ashton Graybiel Spatial Orientation Laboratory
(ブランダイス大学Ashito Graybiel 研究室 (米国 マサチューセッツ州)へ研究留学
平成14年 留学終了帰国
以後 慈恵医大附属病院(本院, 青戸病院(現 葛飾医療センター), 柏病院)に勤務
平成15年 学位(医学博士)受領
平成16年 東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科学講座 講師
平成20年 東京慈恵会医科大学  退職
平成20年 獨協医科大学 非常勤講師
平成20年 添田耳鼻咽喉科医院 副院長
平成24年 添田耳鼻咽喉科医院 院長
資格・所属学会
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定専門医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医